銃刀法から見る刀剣とは?刃物・銃砲の区分けを徹底解説
まずはざっくり!銃刀法の対象とは?

よくテレビや新聞、ネットなどで「銃刀法違反で逮捕」というようなニュースを見聞きします。
銃刀法とは「銃砲刀剣類所持等取締法」の略。
なんとなく、「銃や刃物を規制する法律」「武器を持ち歩くのを禁止している法律」みたいなイメージがあるかと思いますが、詳しい内容をご存知の方はあまりいらっしゃらないかと思います。
「銃砲刀剣類って何?」「どうしたら違反になるの?」「逮捕されたらどんな罰があるの?」知らず知らずのうちに犯罪者にならないために、銃刀法の正しい知識を身に着けましょう。
特に趣味で日本刀をコレクションしている方、日本刀を売却しようと考えられている方は必見です。
刀剣と銃砲の2種類がある
「銃砲刀剣類所持等取締法」と書くとなんとなく難しい感じがします。
銃刀法をわかりやすく言い直すと「銃砲と刀剣を持つことなどを規制する法律」になろうかと思います。
ただ、どんなものが銃砲や刀剣に該当するか?ということも大きなポイントとなってきます。
これがわかれば、「何を持っていると違反になるか?」がわかるので、まずはそれぞれの定義をしっかりと頭に入れておきましょう。
刀剣の定義とは?
刀剣とは刀身や剣身がある武器のことを指します。
具体的には「刃渡り15cm以上の刀や槍、薙刀」や「刃渡り5.5cm以上の剣、あいくち、45°以上に自動的に開刃する飛び出しナイフ」が該当します。
つまり、刃渡りが長くて人を切ったり指したりする殺傷能力が高い日本刀や槍、薙刀、西洋の剣、あいくち(短刀)、ナイフなどが刀剣とみなされます。
銃砲の定義とは?
銃砲とはいわゆる「鉄砲」や「銃」「ピストル」と呼ばれる武器のことです。
具体的にはけん銃や小銃、機関銃、砲、猟銃などが挙げられます、他にも金属製の弾丸を発射する機能を有する装薬鉄砲や空気銃も含まれます。
空気銃とは空気やガスの力で弾丸を射出する実銃で非常に高い殺傷能力があります。
よく混同されますが、BB弾が発射できるおもちゃの「エアガン」とは別物です。
そもそも銃刀法はどんな法律?
銃刀法は第一条から第三十五条まであり、法律の趣旨や銃砲刀剣類の定義、所持・輸入・受け渡し・譲り受け・発射などの禁止、許可申請や基準、管理方法などが事細かに書かれています。
銃刀法が施行された目的については以下のように定められています。
第一条 この法律は、銃砲、刀剣類等の所持、使用等に関する危害予防上必要な規制について定めるものとする。
出典:
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=333AC0000000006#2
「武器である銃砲や刀剣は人に危害を加える恐れがあるから、それを持つことを規制する法律を作りましたよ」ということです。
第二条には銃砲刀剣類の定義について書かれています。
先ほどご説明しましたので、割愛します。
(所持の禁止)
第三条 何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、銃砲又は刀剣類を所持してはならない。
一 法令に基づき職務のため所持する場合
(以下省略)
出典:
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=333AC0000000006#2
そして、第三条には明確に「銃砲刀剣類を所持してはいけない」と定められています。
ただし、職務や研究、狩猟、展示などの理由で所持する必要がある場合は例外的に所持が求められます。
これ以外にもさまざまな規制が敷かれています。
銃刀法から見る刀剣類の定義を細かく解説
銃刀法違反は重大な犯罪です。
たとえば、刀剣類を所持していた場合は3年以下の懲役または50万円以下の罰金という非常に重い罪が科されます。
不用意に逮捕されて犯罪者になってしまわないよう、しっかりと意識しておきましょう。
ここからは、銃砲刀を守るためのポイントを解説します。
持ち歩いたら捕まる?所持と所有の違いとは?

銃刀法で規制されている「所持」とは「そのものを自己の支配し得べき状態に置くことを言う」と定義されています。
つまり、いつでも使える状態にあるということです。
具体的には「携帯」「運搬」「保管」などの行為が挙げられます。
つまり、持ち歩くことは携帯あるいは運搬とみなされるため、銃刀法違反になってしまいます。
ちなみに「所有」とは「特定の財産について所有権を有する」ことを指します。
たとえば刀剣類の所有権を持っていたとしても、現物を「所持」していなければ規制はされないことになります。
それ本当に刀剣類?規定をしっかり知ろう

刀剣類の定義は先ほどご説明しました。
日本刀や槍、折りたたみナイフなど、明らかに武器として殺傷能力があるものはわかりやすいです。
では、包丁やカッターナイフ、はさみなどはどうなのでしょうか?
実はこれらは「刀剣類」ではなく「刃物」とみなされるので、刀剣類ではありません。
刀剣と刃物の違いはなに?
「刀剣」と「刃物」の大きな違いは用途です。
刀剣は人を殺傷するために造られた「武器」です。
一方で、包丁なら食材を切るため、カッターナイフやはさみは紙などを切るために造られた「道具」です。
ただし、包丁などの刃物類も人に危害を加える凶器となります。
銃刀法二十二条では刃物の所持も規制されています。
第二十二条 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。
ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。
出典:
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=333AC0000000006#539
つまり、刃渡り6cm以上の包丁やカッターナイフを正当な理由なしに持ち歩いていた場合も、銃刀法違反となります。
また、刃渡り6cm以下の刃物でも、武器としてみなされれば軽犯罪法で検挙される可能性があります。
模造刀も所持は禁止?
模造刀に関しても正当な理由なしに持ち歩きや携帯をすることは禁止されています。
第二十二条の四 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、模造刀剣類(金属で作られ、かつ、刀剣類に著しく類似する形態を有する物で内閣府令で定めるものをいう。)を携帯してはならない。
出典:
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=333AC0000000006#550
模造刀は切れないようになっていますが、重量があって先が尖っているため、武器として使うことができます。
また、刀剣類と似ているため、人に恐怖を与える存在になりえます。
所持が許される正当な理由はなに?

刃物や模造刀の所持が銃刀法違反に該当するかどうかを分ける大きなポイントは「業務その他正当な理由」があるかどうかです。
例えば、料理人がお店に包丁を持ち込む、職人さんが作業のためにカッターを持ち歩くといったケースは「業務」にあたります。
他にも包丁を購入してお店から自宅に持ち帰るケースや、釣りやアウトドアで使うためにナイフを持っていくといったケースも、「正当な理由」と考えられます。
ただし、何をもって正当な理由か否かは判断が分かれるところです。
また、刃物を持ち歩いていると事故が起きたり、盗まれて犯罪に使われたりするケースも考えられます。
やはり、むやみやたらに刃物を持ち歩かないように注意しましょう。
所持するときは必ず登録証を!
刀剣類を所持するためには、「銃砲刀剣類登録証」もしくは都道府県の公安委員会が発行する「刀剣類所持許可証」という許可証が必要です。
特に日本刀は武器としてはもちろんですが、骨董品や美術品という側面も持ち合わせています。
そのため、都道府県教育委員会で審査を受けて登録証の発行を受ければ、例外的に所持が認められるのです。
刀剣については、必ず銃砲刀剣類登録証もしくは刀剣類所持許可証を備え付けなければいけません。
https://katana-kaitori.com/faq/touroku
刀剣類についてのよくある疑問

しかし、新しい所有者は刀剣類を入手した日から20日以内に登録証に記載された都道府県教育委員会に所有者変更届を出さなければいけません。
また、刀剣類だけ、登録証だけを譲り渡して刀剣類を自宅に保管しておくと、銃刀法違反になる可能性があります。
必ず刀剣類と登録証はセットにしましょう。
警察に発見届を出して、教育委員会から美術品として認定を受ければ問題ありません。
むしろそのままにしておいたり、刀を隠していたりするほうが問題となります。

前述のとおり、20日以内に所有者変更手続きを行ってください。
ちなみに、登録証さえあれば誰でも日本刀を所持することは可能です。
犯罪に悪用される危険性もあります。
紛失届や盗難届を警察に提出しましょう。
もし勝手に持ち帰った場合は銃刀法違反に加えて遺失物等横領という別の罪に問われる危険性もあります。
登録が必要な刀剣類はどんなもの?

銃砲刀剣類登録証が必要な刀剣類は日本刀が挙げられます。
刃渡り15cm以上で、伝統的な製法で鍛錬・焼入れが施された、観賞用あるいは武術用のものが対象です。
槍や矛、薙刀なども含まれます。
売買でも登録が必要
日本刀を所持する際にはもちろん、売買をする際にも登録が必要となってきます。
仮に登録がされていないと、譲り受けた人が銃刀法違反に問われてしまう危険性があります。
骨董店などの買取業者でも、登録証がない日本刀は買い取ってもらえません。
ご自宅を整理していて日本刀が見つかった場合は、まず銃砲刀剣類登録手続きを行いましょう。
登録証の届出先はどこ?
刀剣類が見つかった場所を所轄する警察署に届出を出して、「刀剣類発見届出済証」を発行してもらいます。
その後、発見場所の都道府県教育委員会に手続きをし、審査を経て登録証の発行を受けます。
手続きの場所や日時は警察から受け取る書類に記されています。
日本刀は特別?所有は誰でもしやすい理由とは?

日本刀は銃砲刀剣類のなかでも比較的所持することが容易で、登録証さえあれば誰でも持つことができます。
それは日本刀が我が国の伝統的な美術品・工芸品として広く認知されていることと、居合道などの武芸で使われているからです。
ただし、扱いを間違えると法を犯してしまう、事故や犯罪につながってしまうことにもなりかねません。
日本刀を入手したり、売却したりする際には、銃刀法に関する知識を正しく身につけ、手続きをしっかりとした上で、取り扱いにも十分注意しましょう。
登録されていればお買取が可能です
日本刀はかつて武器でした。しかし、いまは美術品であり日本の歴史を表す文化財としての価値を持っています。
これまで受け継がれてきたことを考えれば、廃棄してしまうことも、ご自宅に放置して錆びさせてしまうことも勿体無いことです。
登録がされていればお売り頂くことが出来ます。また新たな持ち主のもとで、大切に愛好してもらうことで、今後も良い形で受け継がれてゆきます。
今後の保存が難しければ、ぜひ当社にご相談下さい。
当社は一振りでも多くの刀を未来につなぐため、敬意を以ってお買取致します。
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