弓・弓矢の基礎知識!弓の歴史から種類、構造まで解説します

2022年06月21日(火)

弓は、木や竹などの素材の弾力を活かし、矢によって遠距離の対象を射るために作られた道具です。弓は本体の「弓幹(ゆがら)」と「弦(つる)」でできており、「矢」とセットで説明する場合に「弓矢」と呼ばれます。日本では、狩猟の道具から武器、そして儀礼の道具として発展してきました。
ここでは、主に日本における弓の歴史や種類、構造について解説をします。

弓の歴史

弓の歴史は古く、また用途も狩猟や武器のほか、儀礼の道具としての面も持っています。弓の歴史を用途別に解説します。

狩猟道具としての弓

人類が弓を使い始めたのはおよそ2万年前(後期旧石器時代)といわれ、日本のみならず世界各地で、狩猟用の道具として誕生しました。弾力性のある木や竹などを細長く加工し、その両端に弦を張れば弓の完成です。そして、棒状にした木や竹の先端に、鋭く研いだ骨や石をつけて矢として放つことで、手の届かない距離の獲物を仕留めることができました。
日本でも、縄文時代ですでに漆を塗った弓が使用され、鏃(やじり)には黒曜石が使われています。また、弥生時代に製作された銅鐸に、弓を使った狩猟のようすが描かれています。

武器としての弓

弓は、狩猟用の道具から、やがて武器としても使われるようになりました。人口が増えて貧富の差が生じ、権力争いなどから戦争が起こるようになったためです。
3世紀の中国の史書「三国志」の「魏志 東夷伝倭人条」には日本人が武器として使用していた弓の形状について詳しく書かれています。いわく、木弓は握る部分から下が短く、上が長いものとのことで、当時の弓が今の弓と同じような形をしていたことがわかります。矢の本体は竹、鏃は、鉄や骨が使われていたそうです。
武器としての弓は、刀剣や槍などの武器と併せ、主要な武器のひとつとして重宝されてきました。鉄砲が伝来してからも、手軽に作れることやコストの面から、弓がその座を奪われることはなかったようです。合戦というと、まずは弓による長距離戦から始まり、距離が詰まると槍や刀などの近距離戦に変わるという戦法が基本でした。
武家社会において、武士が励むべき事柄として「弓馬の道」といわれたほど、弓の鍛錬は乗馬とともに重要視されて来たのです。

儀礼としての弓

いにしえの日本は中国から文化的な影響を強く受けており、中国大陸で儀礼の道具として使われていた弓が、日本においても神聖で、呪術的な意味合いをもつようになりました。弓矢によって、その場から一歩も動かずに遠距離の対象物を射止めるというのは、時に神がかったようにも見えたことでしょう。
弓神事の代表的なものである「射礼(じゃらい)」は、中国由来の行事で、平安時代初期の頃から正月の朝廷行事として定着します。古来日本では季節の変わり目(節句)には邪気(鬼)が生じると考えられていたため、それらを払う縁起物として、神聖な意味合いをもつ弓や矢が使われていました。
例えば、「鳴弦の儀(めいげんのぎ)」は、弓のみを用い、弦を強く弾き鳴らし、その音で鬼を退ける儀式です。このほか「追儺(ついな)」など、弓矢を用いて鬼を払う儀式は各地で見られます。
現在でも、正月に寺社で授与してもらえる「破魔矢(はまや)」や、男の子が誕生したら最初の正月に贈る「破魔弓(はまゆみ)」など、儀礼としての弓は、日本人にとって身近な存在なのです。

弓の種類

日本の弓には、大きく分けると和弓と小弓があります。それぞれの特徴をご紹介しましょう。

和弓

和弓は、「日本の弓」という名前のとおり、洋弓(アーチェリー)に対する用語です。
特徴は、まずその長さ。和弓の長さは世界の弓の中でもトップクラスで、七尺三寸(約221cm)が標準とされています。また、弓の中央よりも下のほうを握って使用することも特徴のひとつです。
古来、和弓は「大弓(おおゆみ)」と呼ばれ、六尺ほどの「半弓(はんきゅう)」などさまざまな長さの弓が存在しましたが、最も威力があったこともあって武士に好まれ、この長さが現在にまで残ったと考えられています。

小弓

小弓は、主に遊戯用として作られた、サイズの小さな弓を指します。
平安時代、貴族の室内遊びとして小弓は用いられていました。さらに小さな、「雀小弓」という子ども用の弓もありました。遊戯用の小弓というと、ほかにも楊柳で作られた「楊弓」があり、長さは二尺八寸(約85cm)ほどです。

弓の構造

続いて、和弓の構造について解説します。
弓は、弓幹、弦という基本構造からなり、弓の形のことを成りと呼びます。
なお、下記に紹介するのは一般的な名称です。
地域や流派、また弓の素材などでも異なる場合があります。

弓幹(ゆがら)

弓の本体部分が弓幹です。弦に面する方が弓腹(ゆはら)、反対側を背と称します。
弓幹の各名称として代表的なものは次のとおりです。

  • 末弭(うらはず):弓幹の最上部にあたり、弦輪をかける部分。
  • 上関板(うわせきいた):末弭の下部で、弓腹の板部分。
  • 籐頭(とがしら):弓を握る部分(握り)と、その上部に巻いた籐が接するところ。
  • 握り(にぎり):矢を射るとき、弓を握る部分。弓柄(ゆづか)とも。
  • 下関板(しもせきいた):本弭の上部で、弓腹の板部分。
  • 本弭(もとはず):弓幹の最下部にあたり、弦輪をかける部分。

弦(つる)

弦は弾力性があり、細い糸状にしても丈夫なものが使われてきました。古くは、動物性の皮革や腸、植物性の麻などが主な素材です。

  • 弦輪:末弭や本弭にかけるため、輪っか状にした弦。
  • 上弦:中仕掛よりも上部の弦。
  • 中仕掛:矢をつがえて引き絞る部分。矢の端に作られている溝(矢筈)の太さに合うように調整する。
  • 下弦:中仕掛けよりも下部の弦。

成り

成りとは、弓の形のことを指す用語です。弓には、湾曲した部分に名称があり、その弓の特徴が表れています。

  • 姫反:弓の上部にある、湾曲部分。
  • 鳥打:姫反の下から、一番反りの大きな部分。
  • :鳥打から、握りの下部辺りまでのなだらかな部分。
  • 大腰:胴から、小反にかけての湾曲部分。
  • 小反:弓の下部にある、湾曲部分。

弓は、現代でも神事用の道具として身近な存在

弓は、世界中で誕生し、狩猟用から始まり、武器や遊戯、そして儀礼にも用いられてきた道具です。
日本では和弓と呼ばれる、世界トップクラスの長さを誇る弓がいにしえより使われていました。現在も、弓道として技術が残るほか、各地の寺社の伝統行事で目にする機会が多い道具ではないでしょうか。
魔を払う力が宿る道具として、骨董品としても人気があります。

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