火縄銃とはどんな武器?仕組みや使用方法、種類を解説

2022年11月15日(火)

火縄銃とはどんな武器?仕組みや使用方法、種類を解説 日本で火縄銃というと、戦国時代に種子島に伝来し、以降の戦術に大きな影響を与えた武器という印象があります。織田信長が長篠の戦いで使用し、武田の騎馬軍団を撃破したというような逸話も有名です。
では、実際のところ火縄銃という武器がどのように日本に伝わり、日本中に広まったのか、また、武器としての仕組みや使用法について解説します。もし、火縄銃を所持したい場合の方法についても紹介しますので参考にしてください。

火縄銃とは15世紀頃に開発された古式銃の一種

火縄銃は、人類が初期に開発した火器のひとつで、滑腔銃身(銃身の内部に旋条がない)を備え、黒色火薬の燃焼によって瞬発的に金属弾丸を発射する機構を持つ武器です。15世紀前半頃、ヨーロッパで開発され、オーストリアやドイツで発展しました。
火縄銃の性能は一般的に、銃身1メートルくらいであれば、最大射程距離は500メートル以上、人体ほどの大きさに命中させられる有効射程距離は100メートルほどといわれています。また、30メートルほどの距離があっても、野球ボールくらいの大きさに命中できる性能があるともされています。

火縄銃の歴史

火縄銃がいつ頃開発され、また日本に伝来したのでしょうか。日本における火縄銃の歴史について、日本中に広まった理由と併せて解説します。

種子島に伝来、または倭寇により持ち込まれる

日本に銃が伝わったのは、鉄砲伝来に関する歴史書「鉄炮記」の記述により、当時のポルトガルの商人によって売買されたが最初とされています。このほか、すでに東南アジアや中国、朝鮮には伝播していた火縄銃が倭寇によって日本各地に持ち込まれたとする説もあり、いずれにせよ16世紀半ばには日本に流入してきたことは間違いありません。
当時の日本は戦乱の時代のため鉄砲の需要があり、また金銀の採掘が盛んで豊かだったことも相まって、日本各地に鉄砲が広まりました。

火縄銃の複製に成功

16世紀当時、ポルトガルがインドに鉄砲の工廠を設立していましたが、日本で広まった火縄銃のすべてを生産していたわけではありません。日本には、火縄銃そのもののほか火縄銃の製造法も伝わりました。そのため、日本は火縄銃を複製し、独自に運用を行うことができたのです。
火縄銃は、それまでの日本にはない複雑な機構を持ち、金属部品の製作や火薬の精製が必要です。中でも製作に困難を極めたといわれるのがネジでした。種子島の領主だった種子島時堯が、刀鍛冶の八坂金兵衛に火縄銃の複製を命じましたが、当時の金属加工用の工具は、タガネとヤスリくらいしかありません。八坂金兵衛はさまざまな工夫を施して、1年後に精巧なネジの製作に成功。火縄銃の量産へとつながっていきます。

火縄銃が普及し、鉄砲保有数が世界一に

種子島にもたらされた火縄銃2挺のうち、1挺は種子島時堯が所有し、もう1挺は薩摩藩を経て将軍足利義晴に献上されます。足利義晴は近江の国友(現在の滋賀県)の刀鍛冶に命じて火縄銃の複製を命じ、国産化に成功。国友は織田信長によって、刀から鉄砲鍛冶の町に変貌し、日本最大級の鉄砲生産地になります。国友のほか、堺(大阪府)や雑賀(和歌山県)などでも火縄銃の生産が盛んに行われます。
元々、日本の刀鍛冶の技術が高かったこともあり、ヨーロッパで製作された火縄銃よりも精度の高い銃を造ることができました。しかも短期間での量産化が成功し、1575年の長篠の戦いで3,000挺(1,000挺とも)、1614年の大坂の陣で徳川軍が用意した火縄銃などの火器が30万挺ともいわれています。戦国時代末期には、優に50万挺もの銃が日本にあったとされ、世界的に見ても日本は鉄砲保有国世界一となったのです。

火縄銃の仕組み

時の戦国大名たちを魅了した火縄銃。その火縄銃の構造や各部名称、弾丸発射の原理について解説します。

火縄銃の各部名称

火縄銃の仕組み

火縄

火薬に着火するための縄。火縄銃という名前の由来になっている。

火鋏

火縄を挟んでおく金具。弾丸発射前は火縄が火皿につかないように固定されているが、引き金が引かれることでバネじかけによって稼働し、火縄を火皿に打ちつけることができる。

火皿

銃身内の火薬に引火させるための点火薬を入れる部分。

火蓋

火皿を覆う蓋。開くことを「切る」ともいうことから、火蓋を切る=戦闘開始という意味になった。

カルカ

槊杖のことで、木や金属でできた細長い棒。カルカを使って、銃口に入れた火薬や弾丸を押し込める。銃身の清掃道具としても使う。銃口下部に収納しておくことができる。

前目当、先目当

標的を定めるために設けられた照準装置。

引き金

指で引く、発射装置の金具。火縄銃の場合は火鋏を稼働させるために必要。

弾丸発射の原理

弾丸発射の原理 火縄銃も現代の銃も、火薬の爆発力で金属の弾丸を発射するという原理は同じです。
銃身には、底となる部分に尾栓と呼ぶネジをはめ込み、中に火薬と弾丸を入れてセットします。火薬が充填される部分を薬室と呼び、銃身の外側に設置してある火皿とつながっています。火皿には点火薬を入れ、火縄につけられた火が入ることで、点火薬から火薬に引火。薬室内で火薬が爆発し、その勢いで弾丸が発射するのです。

火縄銃の使用方法

火縄銃を使用するには、いくつかの手順が必要です。現代の銃よりも手間がかかるため、実際の戦場で使用する場合も工夫が必要でした。その例と併せて使用方法を紹介します。

発射手順

1 火縄に火をつける

火縄に着火しておき、いつでも発射できるようにしておく。複数本、着火させておく場合もある。

2 火薬と弾を銃身に込める

銃口から火薬と弾を入れ、カルカで奥に押し込む。

3 火皿に点火薬を入れて、火蓋を閉じる

銃身に入れた火薬よりも粒子の細かな点火薬を火皿に盛り、火蓋を閉じて保護する。

4 火縄を火鋏につける

火縄を火鋏につけて固定し、射撃の構えに入る。

5 火蓋を切って(開けて)、引き金を引き、発射する

引き金を引くことで火のついた火縄が火皿に打ちつけられ、薬室内の火薬が爆発し弾丸が発射される。

戦での火縄銃の使用例

火縄銃は、伝来当初は高価な武器で大将クラスが用いていました。やがて量産とともに普及されると、足軽の主要武器になりました。銃は撃ち方を覚えれば、槍よりも遥かに遠くの敵に損害を与えることができる武器ですので、戦における脅威になったことは間違いありません。
火縄銃を用いた合戦で最も有名なものは1575年の織田・徳川連合軍と武田軍が戦った長篠の戦いでしょう。
通説では、織田信長が3,000挺を使い、馬防柵を使って三段撃ちを行い、武田騎馬隊を撃破したとされています。昨今では、鉄砲の数や三段撃ちについて見直しがされており、創作という話があります。しかし、火縄銃が使われたことは事実のようです。
また、火縄銃の名手として有名な明智光秀や、戦国最強と歌われた鉄砲傭兵集団である雑賀衆など、戦国時代において火縄銃の存在は歴史を動かす需要な要素になったことも間違いありません。

火縄銃の種類

種子島にたどり着いたポルトガル商人や、倭寇によってもたらされたという火縄銃。日本の各地に製造法が伝わり、さまざまな種類が開発されました。火縄銃の種類について紹介します。

生産地や砲術家による種類

火縄銃はその形状から「筒」と呼ばれ、場所名+筒で区別されました。主なものに「国友筒」「境筒」「薩摩筒」「仙台筒」「備前筒」などがあります。
また、火縄銃が普及されたことで射撃方法を確立させた砲術家も登場しました。中でも、稲富祐直を開祖とする稲富流砲術が有名で、稲富流の仕様にもとづいて製作された「稲富筒」があります。

火縄銃の仕様による種類

火縄銃に使用する弾丸の重量によって、軽いものから「小筒」「中筒」「士筒(さむらいづつ)」があります。小筒は普及版とも呼べるもので、猟銃や足軽への支給品として使われました。やがて、火縄銃への防御装備が広まると小筒では威力が弱いため、中筒が主流になったようです。
このほか、騎乗して使う「馬上筒」、火縄銃版の拳銃といえる「短筒」、銃身が一般的な火縄銃よりも長く1.4mを超える「狭間筒」などがありました。

火縄銃の所持について

戦国時代に活躍し、幕末まで武士に愛された火縄銃。ぜひともコレクションしたいところですが、注意点があります。所持したい場合には許可が必要なのです。
日本では、いにしえの火縄銃であっても銃であるため、銃砲刀剣類所持等取締法(通称・銃刀法)という法律により所持が禁止されています。しかし、例外的に美術品や骨董品としての価値が認められる銃砲については、登録することで所持が認められています。
つまり、所持したい火縄銃が美術品や骨董品としての価値が認められる場合、「銃砲刀剣類登録証」の発行を持って、所持することができるのです。

銃砲刀剣類登録証について詳しくはこちら
刀の所持に必要な登録証とは? 銃砲刀剣類登録証について解説します

火縄銃は日本の製鉄・鋳造技術の結晶

日本刀を製造するために培ってきた、製鉄などと技術がいかに高かったか、火縄銃の普及スピードが物語っています。1543年に伝来してから、わずか100年もせずに複製にとどまらず、独自のアレンジを加え、量産に成功し、本場のヨーロッパよりも性能が良いといわしめた日本の火縄銃。16世紀から17世紀にかけて、これほど高性能な銃を製造できたのは、世界でも日本だけといわれています。

全国刀剣買取センターでは、日本刀のほか、銃砲刀剣類登録証がついている火縄銃などの買取を行っております。自宅で火縄銃などの古い銃を見つけた場合など、ご不明点がございましたら、お気軽に全国刀剣買取センターまでお問い合わせくださいませ。



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