~刀の価値を下げる「水」と「火」!?~

2014年10月09日(木)

刀は鉄を材料に出来ており、鍛練され、焼き入れされて、最後に研ぎ上げられ、武器として使用できる状態に、また美術鑑賞の意味でもその真価を味わえる状態として完成されます。以降、その状態をいかにそのままの状態で維持するかが、価値を保つ意味で重要となってきます。

 

①    水分に触れさせないように

鉄を材料としている以上、怖いのは錆びさせることです。錆の原因はひとえに水。水分に触れさせることです。直接水に触れさせることは当然ご法度、それ以外にも、鑑賞の際に唾(唾液)や汗を刀身に付着させないように注意しましょう。

  また、結露の起こりやすいマンションなどで保管される場合は、特に注意が必要です。必ず油を塗って保管し、また出来るだけ頻繁にお手入することが必須となってきます。その他、災害によって、刀が水に浸かってしまうこともあるようで、東日本大震災では津波によって多くの刀が遺失、また海水(水よりもさらに錆びます)にさらされたようです。

また昨今はゲリラ豪雨や巨大台風などで川の氾濫、土砂災害、住宅の浸水など多く起こっている中で、刀が被害を受ける事例も多いと思われます。どうか安全な場所で保管・管理して頂きたいと切に願います。

 

②    火災による焼きのなまり

刀は千何百度以上の高温で刃を焼き入れされています。それが火にあたると、焼きが戻る(なまる)こととなります。刀が焼けてしまう要因には、戦火もあり、また災害や一般的な火災の場合もあったでしょう。近来では第2次世界大戦の際の空襲や、最近では阪神淡路大震災でも、価値ある刀が多数焼けてしまったと聞いております。多くはその時点で野に朽ちてしまったり、破棄されてしまったと思われますが、現在登録証が添付されている刀の中にも、焼けてしまったもの(焼身)の刀が多数混在しているように感じます。その中に焼けたままのもの、もう一度焼きを入れ直したもの(再刃)と両方ありますが、当然、元のままのものと比較すれば価値は下がります。すでにそうなってしまったものは仕方ないとしても、やはり火の用心、火災にはくれぐれもご用心頂く中で、特に刀の保管場所にはくれぐれもご留意下さい。



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