刀剣の登録証が不備で買取できない?!3つのチェックポイント
昨今、刀剣を買取させて頂いている中で、意外と多いのが、
登録証に不備があって、お買取出来ないことです。
具体的には、
①登録証と現物が一致していない
②登録証が改ざん、変造されている
この2つの場合が該当します。
よくある日本刀の登録証の不備とは
①登録証と現物が一致していない
この場合については、一般的に、刀が2振り以上あった場合に
違う刀の登録証を間違って添付した(取り違えた)状態で、
一部を先に処分してしまって、あとにそれぞれ違うもの同士が残っているような
ケースが考えられます。特に無銘の刀の場合に多いかもしれません。
この場合、登録証の記載内容と各都道府県に保管されている
台帳の内容に矛盾がないため、相続で入手した場合、
人から譲られた場合、どちらの場合でも、所有者変更をするのには問題がなく、
不一致に気がつかないまま何年もお持ちになり、
私どもがお買取に際し、寸法を測った時に初めて判明する、
と言うことがあるのです。
先日も都内へ出張買取で個人の方のお宅へお邪魔し、現物を査定して、
お金額についてご納得して頂いて、確認の意味で寸法を測ったところ、
実際の刀身と登録証に2センチ近くの相違があり、
残念ながら最終的にはお買取が出来ませんでした。
②登録証が改ざん・変造されている
この場合は、別の刀の登録証の記載内容を、いまここにある刀の寸法や銘文に合わせて
書き換えたり加筆して、無理やりに合わせてしまうもので、
書き換えた登録証と現物の内容はとりあえず一致していますが、
各都道府県に保管されている台帳の内容とは当然一致せず、この場合、所有者変更は行えません。
これも先日都内へ出張買取に行った際のお話ですが、添付されている登録証を確認させて頂いたら、
もともと記入されている文字が薄くなっていて、その上から新たに数字や銘を加筆されているように見えました。
その場で教育委員会へ電話で確認したところ、やはりその刀の元来の登録証ではないことが判明し、
この場合もお買取は出来ませんでした。
刀剣における登録証は、人間で言えば戸籍のようなものであり、
①、②どちらの場合も、お買取する上では重大な問題となる事柄です。
お客様、当社、お互いに売買する意思があるにもかかわらず、
このような登録証の不一致によりお買取が出来ないと言うのは非常に残念なことです。
日本刀を買取に出す前にチェックしたい3つのチェックポイントとは
1、まず登録証と現物の刀が一致しているかどうか、確認して下さい。
刀身の測り方については、鞘を抜いて頂いて、下記の画像の通り、
長さ(棟まちのところから切っ先までの寸法)が、登録証にある「長さ」と一致しているかどうか、
反り(切っ先から棟まちまでを直線で結んだ線と棟との長さが最大となる値)が
登録証の反りと一致するかどうか、
柄を抜いて、銘文の有無、銘がある場合は登録証にある銘文と同じかどうか、
目釘穴の数が登録証にある数と一致するかどうか、これらの点をご確認頂きたいと思います。
http://www.city.setouchi.lg.jp/~osa-token/bizen/index3.htm
※一寸は3.03cmで計算して下さい。
2、登録証をよく見て、改ざん、加筆などがないかどうか、ご確認下さい。
勝手に文字を足したり、砂消しゴム等で消して書き直したりされていないか、
部分的に筆跡や筆記具に違うところがないかをご確認下さい。
※昭和50年代以前の古い登録証には、ラミネート加工(パウチ)がされていませんので
特に注意して見て下さい。ビニール袋などに入れてある場合は取り出して確認して下さい。
その上で、もしお持ちの刀剣と登録証に不一致がある場合、改ざん・変造の疑念がある場合については、
発行元の各都道府県の刀剣担当部署に電話で内容を照会し、それらが判明した場合には、
担当者の指示に従って、速やかに登録証の再交付・新規登録の手続きを取って下さい。
3、所有者変更の届出を行ってください。
所有者変更の届け出を適切に行えば、その時点で不備が判明する場合も多いです。
相続や譲渡、売買などにより刀剣の所有者に変更が行われた場合には、
新しい所有者は20日以内にその刀剣を登録した教育委員会へ所有者変更の届出を行うことが
義務付けられています。
もし登録証に不備や改ざんなどがある場合などは不受理となりますので、
その場合は教育委員会の担当者の指示を仰ぎ、
適切に登録証の再交付・新規登録などの手続きを行ってください。